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エッセイタイトル「いつものように」
2005年8月13日
医学博士・歯科医師 林 春ニ

 今年もいつものようにお盆が来た。家の門で、線香に火をつけ先祖の霊を迎える。きれいに飾られた仏壇に、先祖が帰ってくる。


 時代は変わり色々なことが合理的になったとしてもこの儀式はあまり変わっていないように思えるがどうだろうか……。


 この時期になると“越し方・行く末”を考える事がある。そんな時ふと頭をよぎるのはいつものように時間が過ぎていくことがどれほど幸福なことかということである。困ったことにこの“幸せ”はいつものようにならない時か、不幸になってみないとわからないことだ。


 20年前の8月12日、花市の日のことであった。


 その日も“いつものような”一日が過ぎ、夕食を摂ってから盆花を買いに出た。この日ばかりはどの店の道路まで店先に盆飾りの花やゴザを並べ、その上に裸電球をつけていた。たいした商店街で無かったけれど中には浴衣を着た人も混ざっていていつもより賑わいを見せていた。


 夏の日はすでに暮れ、店先に並べられた盆花を照らす明かりがきれいだった。
 私がいつも盆花を買いに行く八百屋に行くと、おばさんが「春ちゃん、飛行機が墜落したよ」と声をかけられた。けれど、よく冗談を言うおばさんなので信じられず、「何言ってるの」と話をはぐらかしたので、話はそこで途切れてしまった。しかし、あちこちで飛行機事故の話をしていたのでただならないことが起こった事はわかった。