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エッセイタイトル「あいさつ」
2005年6月27日
医学博士・歯科医師 林 春ニ
 あなたは人に会った時にどんな挨拶をするでしょうか……?
と聞かれても困りますよね。久しぶりに会った友人、その時の状況で相手も挨拶の仕方も同じになることはないと思います。

 それでは、その時あなたの挨拶をしている相手は誰なのでしょうか?……?
話し相手か、目の前の人ということになりますね。つまり、私たちが挨拶をする時は非常に限られた特定の人達ということになります。だから、その時の挨拶は”軽く”なってしまうのではないでしょうか。ところが頼みごとがあるような時には、精一杯の気持ちを込めて相手にインパクトを与えるような挨拶になります。

 つい先日のことです。吉井歯科の祐介先生の紹介でとても有名な歌手の治療をさせてもらいました。私が診療所に行くと、その人は待合室で私を待っていてくれました。有名な人だからといってとくべつな雰囲気があるわけでもなく、町ですれ違う若い人と同じ感じでした。

 挨拶もそこそこに現在の不満を聞くと、今までの治療をしてくれた先生が自分の希望を叶えてくれなかったために歯科治療に強い不信感を持っていることがよくわかりました。そこで私はこの不信感をなくしてもらうために本人の希望をできるだけ叶えられるようにしていこうと思いました。

 また歌手ですから発音についてはかなり気になるようでした。さらに発音する速度についての不満には困りました。どういうことかというと「自分が発音する”ピッチ”を邪魔して欲しくない」という要望は初めてだったからです。今までの経験からすれば発音しやすくなれば問題は解決するはずです。

  私の診療の基準が「患者さんが楽に噛めること」にある事を説明しました。楽に噛めるということは力いっぱい噛めることに通じます。そして、力いっぱい嚼むためには全ての歯がバランス良く当たらなければなりません。その噛み合わせなら激しいロックでもきっとうまく歌えるはずです。